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小林可夢偉ができるまで(加筆と追記+)
2011年01月17日 (月) 12:09 | 編集
今回のF1速報の「小林可夢偉特集号」は読みごたえありますね。

「特集」なんて名乗っていても、読んで見ると中途半端な内容でガッカリすることもあるものですけれど、しっかりと多方面から切っている感じがして好感持てました。
もっとも新車の概要が見えていない現状なので、それはこれ以降のお楽しみということが物足りなかったけどw

元F1カメラマンで今は後進の育成に励むレーシングカートチーム主宰者の僕としては「小林可夢偉のできるまで」という子供の頃からの可夢偉のレース活動を綴った記事が興味深かったです。


まず彼自身が「どうやったら良いのか、常に可能性の限界を超えて探し続けた」というのが良いなと。
「マシンを身体の一部として、いやそれ以上に自由に扱えた」と言われている可夢偉が、なぜそこにたどり着いたのかということが少し解った。

親御さんもカート監督も「自由に速さを探させるためのステージ作り」をやってくてれいた。

つまり「速いドライバーになってほしいのだったら、こっちは何もしないのが一番」というスタンス。
可夢偉が自分で速さを探すプロセスをしっかり持たせていたようなんです。


全国のカート場で子供を教えるカート指導者達はとかく「ここでブレーキ、ここでステア、ここからアクセルオン」というように手取り足取り走り方を教えてしまう。
ライン取りでも「これがベストラインだから」と決めつけてしまう。
探すプロセスを吹っ飛ばしてしまう場合が多いようです。

乗るマシンにしても、幼少の頃から最高のものを常に与え、最高のマシンなんだからこれで勝って当然。
負けたらマシンのせい、みたいなことも多いかと。


可夢偉の記事を読んでいると、道具は人並かそれ以下で、ドライバーがいかにしてそのマシンで速さを見つけてくるのか?という部分に焦点を当てた指導法だったようで、全日本レベルの写真とともに「曲がったマシンでも踏んで直してまた乗った」とか良い逸話が載っていました。


僕が全日本選手権の東シリーズに出ている時に西地域で可夢偉は戦っていて、その当時から「西の小林は凄い」って話題に出ていたんですけど「まるで猿みたいなレースをする」とか凄い評価だったんです。
猿みたい?って思いますが、要するにカートという道具をあんなに自由に乗りこなすヤツは居ないって言うことだったんですね。
天才、と忌憚なく言われていました。

僕も長年カート業界にいますが「あの子は速い」という子は多いですが「天才だ」と評されることは希有です。
それだけカート時代から専門家達を唸らせていたわけですね。

そしてその才能を開花させたのが「負けず嫌いの性格+自由に速さを探させるステージ」だったんですねー。


今になって「ああ、結果が出たな」と思うことがあります。
当時、カート界にはもうひとり恵まれたドライバーがいました。
それは(あえて実名)中嶋一貴くんです。

彼は父親が元F1ドライバーですから、見るところ良い体制良い道具しっかりした指導体制でカート界を席巻して上に上って行きました。
可夢偉も中嶋も“あのころのカートドライバー”が二人もF1まで行ったのって凄いことです。

凄いんだけど、でもドライバーとして二人を比較すると「コンサバな中嶋、最初からF1に行くまで自由にやってきた小林」と、対照的に感じてます。
そしてその対照を見比べて、やっぱり「徹底的にドライバーに速さを探させ、結果として速くなったヤツがやっぱり強くて速いんだな」という結果が出たのかなと。


僕自身も監督として子供に指導することが仕事なわけですけれど、僕の教え方は速くなるための基本情報(例えば向きを早く変えてステアが戻ったほうが加速は速いんだよ、とか)を中心的に行っています。
アプローチの方法を具体的に教えないで、幾つかの方法を示してあげて「それを探すのがドライバーの仕事」というやりかたです。

めっちゃ曲がらなくしたマシンに乗ってもらって「これで曲げ方を探そう」とかそういうのです。
そしてドライバーが速さを探しに行く。
後ろ動かしてごらんとか、スロットルをメッチャいつもよりも速く開けてごらんとか、探すやり方を教えながらです。


それが「ドライバーが探すためのステージ作り」ってことかと思ってます。


見ていると『練習の時から常にベストセットを探してばかりいる』指導者も多いのではないでしょうか?
そして『ベストセット以外ではタイムが出ないと言い訳をするドライバー』が多いように感じます。
そりゃそうですよね。セットのせい、セットが決まらないって、練習時からそうやって積み重ねていれば、そういうドライバーが育って当たり前ですもん。

セットはともかく、今の状態で最善を尽くす積み重ねをする練習をお勧めしたいんです。


僕が可夢偉の出きるまでを読んで、当時の指導者達は忍耐力あったなーって感心します。
普通、ドライバーに探させると時間掛かりますから。




それから子供カートの指導者主任のお父さんがやりすぎちゃう。
子供が戦っているのですが、お父さんが戦い始めちゃう(笑)

負けるといちばんガッカリしているのがお父さんで「もっとカートを速くしたい」という欲求に勝てなくなる人が多いw
お金を掛けられるだけ掛けて「いちばん速いカートにすること」に執心してしまう。
これがいちばんドライバーを伸ばさないですね。

「お父さんの言った通りにしないからダメなんだ」
っていうのが最悪です。
「なんで言った通りにしないんだ!!」
みたいな(笑)

「お前なんかまだ子供なんだから、勝手に考えないでお父さんの教えた通りにしなさい」という指導法(笑)を実際に耳にしたことがありますorz
探すプロセスを力ずくで奪ってどうするって(笑)

「じゃあお父さんの言う通りにするよ」って子供が思ったら最悪w
負けてもお父さんのせいであって、自分は頑張ったってw


ドライバーを速くする、速くなって欲しいということが願いなら、可夢偉の指導体制のようなやり方の方が良いですよね。

カートは遅そうなのに、あの子は勝つねえ!
そういう風になってくれるのがいちばんカッコいいw

小学校低学年から始められるカート。
最初はコマーとかカデットクラスという入門クラスがあるんですけど、そこから「金掛け合戦」になっちゃうのを聞くと「あーあ、上で通用しないぞお」とか思ってる関係者も多いです。

可夢偉くんみたいになろう。
そして可夢偉くんみたいになりたいんだったら、もっと自分で色々工夫やチャレンジしてこのままのセットで速さを探そう!

と子供に言ってあげて下さい。
子供は一度納得したら突っ走ってくれますよ!!


可夢偉の作り方って、その方法で進めたってそりゃみんなが可夢偉に成れるわけじゃない。
でも「子供が自分で速さを探す。速く成りたいと心から願って探してくる」というアプローチは、どのクラスでも使えると思います。

ちなみに、関連余談ですが

あの高木虎之介さんも、大富豪のお父さんがいながら
「セッティングは変えるな。そのままタイム出せ。」

というカート教育方針だったということです。

「ぜんぜんダメなカートだったけど、悔しかったし負けたくなかったからなんとかする方法を探した」
と虎之介さんは僕に教えてくれました。

正直その話を聞いた時は驚いた。
だってお父さんってホントに凄い人だから。

その探求心は、いま高木企画所属のジュニアドライバーに厳しくも愛情溢れる指導として昇華しているようです。

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コメント
この記事へのコメント
難しい・・・
確かに特集号よみました。
日本では、親がお金を出してるんだから、言うこと聞いて当たり前みたいな・・・
習い事でも塾しかり、ピアノしかり、、、
周りの目もあるし、ついつい親は何で聞いてくれないの?ってなっちゃうのかも。
実際あたしもそう言われて育ったし。自由に育てれる寛大な親御さん求む!!
2011/01/24(月) 09:42 | URL | やすみん #Poz52EtU[編集]
管理人のみ閲覧さんへw
僕はとにかく子供達には「ドライバ-が速くなるためには何が必要か」ばっかり考えています。

そしてそこに「モノ勝負」を極力持ち込まないようにしています。

逆に大人には「モノも大きいよお(悪魔のささやき)」って言いますけど(笑)

そしてレース日には、そうやってドライバーが苦労して見つけて来た「自分の見つけた速さ」を最大限発揮できるように、エンジニアリングを駆使してセットを決めて「最善で最高のセット」で乗ってもらいます。

普段から「この子はどうやってタイム出しているのか」というのを観察するのが大切で、例えば南幌3兄弟の上と中の子ではシャシーの回し方が違う。
それに合わせる、そういうのが決まると快感なんっすよねーw
2011/01/18(火) 15:50 | URL | O&けんちゃん #BWgGc7Fk[編集]
Re: タイトルなし
> 「もっとカートを速くしたい」という欲求に勝てなくなる人が多いw
>
> ・・・・やっぱり新車はキャンセルでしょうか(笑)

新車に乗るとか、そういうのは「基本」ですよー(笑)

基本を押さえた上で「もっとカートを速くしたい」という衝動が進むと
例えばホイルやホイルハブひとつでも各社のものをどんどん購入(カート代くらい掛かりますw)してしまったり
あるいは「速いエンジンを探す」という目的で入門エンジンを10台買ってみたり(実話)

出た新型パーツを次々購入して行くだけでももの凄い出費、そしてそれを使いこなせるのかどうか分らないですけどねー。
特に関東では平日の子供の練習日を週末に限定するなどしていますが、それがないと毎日学校を休んでパーツテストに明け暮れたりw

そんな凄い話になるんですよねー。
それって、ドライビングを学ぶ時期に行なうことは、間違っていると考えています。

2011年さんは走り込みに重点を置いて、あと出費は基本的に信頼性方向。
それで良いのだと思います。
2011/01/18(火) 15:38 | URL | O&けんちゃん #BWgGc7Fk[編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2011/01/18(火) 14:44 | | #[編集]
「もっとカートを速くしたい」という欲求に勝てなくなる人が多いw

・・・・やっぱり新車はキャンセルでしょうか(笑)
2011/01/18(火) 10:46 | URL | 2011cruiser #SFo5/nok[編集]
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