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F1レーサーの練習法
2009年10月22日 (木) 14:25 | 編集
匿名の投稿での質問があったので、特定部分を「ピーっ」にして、お答えしますね。

以下投稿文________

初めまして.
「ピーーーーっ」,と申します.

今回の日記に練習の話が少し出ていたのですが,疑問に思ったことがあります.

F1レーサーはどうやってドライビングの練習をしているのですか?

よくフィジカルトレーニングを行っている場面や記事をみたことがありますが,あれはあくまで身体のトレーニングであってドライビングではないですよね?

例えば野球選手であれば,打撃練習・守備練習など日々練習をしていると思います.自転車選手であれば距離を走ることで持久力の向上や,短距離スプリント力を向上するための練習があったりすると思います.

F1ではテスト走行がありますが(現在はあった,ですかね),あれは主に車両開発が目的になってしまっているのかな,と感じます.レースウィークのフリー走行はマシンのセットアップ能力の向上には繋がるのかと思うのですがドライビング技術に関してはどうなのでしょうか?なにより,F1ドライバーはレース以外にF1マシンを運転する機会が少ないように思えます.

このような状況で,現在のF1ドライバーたちはどうやって自分の能力を向上させていくのでしょうか?やはりシミュレーターに頼るしかないのでしょうか?

周りにレースに詳しい人がおらず,長い間F1の現場を見ているケンサワさんなら何かご存知かと思いコメントをさせて頂きました.

長くなってしまい申し訳ありません.もし不適切であれば削除をお願いします.またこのような内容がコメントとして良いのかが分からないので,とりあえず秘密にしました.

読んで頂きありがとうございます.

____以上投稿文


 F1ドライバーのドライビングトレーニング。

 かの昔、国内最高レベルのプロドライバーの高橋国光さんが「レーサーは練習はできないししない。実戦の場で“乗る”こと以上のトレーニングは無いからだ」と仰ってましたねえ。
 当時は体作りからして実戦重視のドライバーが多かったようですけど、近年はダウンフォース増加などによる横Gの強力化でフィジカルトレーニングが重視されて来ていますよね。

 F1ドライバーに限らず、プロドライバーというのは「完成した姿」と考えられている部分があって、プロになるまでにしっかりとドライビングトレーニングを積んで行くのが良いとされています。

 良くレーシングドライビングの事を「アート(芸術)」だ、と言います。
 レオナルド・ダビンチもデッサンなどはしたのでしょうけども、芸術家の場合そのデッサンすらも作品ですよね。
 同じ絵の具、同じ画材、そして同じ風景で絵を描いても、書き手の芸術家によって表現が全く違うのがアートの世界。

 そしてドライビングも「アート」に例えられるのは、つまりは「同じマシン、同じコース、同じコンディションで乗っても、ドライブするドライバーによってタイムも表現も違う」からなのでしょう。

 また「アート」なので、上手く行ったり失敗したりします。
 レース中でも、そういった行為を繰り返しながら、より良い作品(ラップ)を作ろうともがいたり楽しんだり挑戦したりしているのがドライビングです。
 どんな凄いドライバーでも「レース中一回も全くミス無く走り切る」ことは不可能です。
 だから実際に走りながらインプルーブのアプローチを繰り返していると思います。

 教えたり、学んだりして身に付くテクニックでは補いきれないものを持っているからこそプロになれるのでしょうね。

 でもプロになってからも、実は「プロのためのドライビングクリニック」が存在します。

 現役時代の片山右京なども、そういったプロクリニックでドライビングのブラッシュアップを行ったそうです。
 ゴルフのタイガーウッズにも「フォーム監視と修正アドバイスのプロ」が付いているようなものです。

 英国のそのドライビングクリニックは高額らしいですけど、聞く所によると色々な方が受講されているようですね。

 でも実際問題、そういうクリニックなどを利用するドライバーの方が稀少でしょう。

 F1レベルのドライバーにとってのドライビングは、もっと感覚的なものらしいです。

 またデータロガーに代表される各種データを用いて、自らのドライビグを修正したり確認したりするのが一般的ですね。
 コーナー毎のドライビング修正は、現地で即座にやらなくてはなりません。
 データを用いてドライビングを立て直したり高度化したりするのが得意だったのは佐藤琢磨くんです。
 佐藤くんは「ミーティングの前にチェックして疑問を要点化し、ミーティングでそれを解決する方法を考え、ミーティングが終わってからもデータを見ながら熟考」していたそうです。
 
 データを見ているだけで、どういうドライビングをしているのか解るわけですね。

 そういう能力もまた、ドライバーが身につけ、トレーニングする能力の一つのようです。

 ダートトライアルやジムカーナのような「タイムトライアル競技」とは違い、繰り返し同じコースを走るレーシングでは、ラップする毎に“より良くする”アプローチを続けることこそがトレーニングなのかもしれません。

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コメント
この記事へのコメント
質問者のジャイアンと,です(せっかく匿名にして頂いたのに名前を出してしまい申し訳ありません).

ドライビングは「アート」ですか.ということは,速いドライバーは持っている道具を使っての表現が上手い選手ということでしょうか.

データロガーの用いたドライビングでもそうなのでしょうが,想像/創造力が優れているドライバーがF1で速くなる条件なのでしょうか.もちろん基礎的なことは全て修得しているという前提で.

なかなか想像できない世界なので,こういった話を聞くととても興味深く面白いです.詳しく答えていただきありがとうございました.
2009/10/23(金) 00:03 | URL | ジャイアンと #iYHnOOGg[編集]
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